現場リアル物語 -後日譚- 運命の 150分
…あれからというものの、
私は沢山の障壁と闘い、振り回されたものの、現新比較のテストは順調に進んでいた。
もう祈りに頼る日々とは別れを告げ、着実に前に歩みもスケジュールも進めていた。
…という夢を見たんだ。 - 終 -
あの日、全てを思い出したんだ。
何もかも解決していなかったと、悪い意味で「終わってる」と…
現新比較のテストはShellキックで実施し、エビデンスをExcelに貼り続ける意思のない機械となること。
今までは環境構築や仕様がオワタだったけど、今はとりあえず動作する準備が整ったのであった。
Note
ただ「動く準備が整った」だけ。
ここではあくまで祈りの教会ができただけ。(要らない)
長かった…と思いつつも、とりあえずこれからやっと前に進める。
早速、現環境と新環境で同じ本番データを通して差分チェック。
問題なし。差分なし。
そのままエビデンスを残して提出。簡単だ。
とりあえず1日通して10本が終わった。
スケジュール的には2.5日分の進捗である。楽勝すぎる。
Note
ようやくご褒美タイムがきたのだ。(フラグ) このペースなら4日で巻き取れるどころか余裕で追い越す予定
しかし、私はとある一言に少し慄いていた。
それはこのテストプロジェクトのキックオフMTG(一番はじめの会議)でクライアント先の前任者の些細な一言だった。
「この担当箇所ですけれど、古すぎて私も分からないんですよねww」
翌日、気になる挙動を確認した。
Shellキックしてもログもエラーも実行結果も表示されない。
何かが近づいてくる音がした。
とりあえず報告。
返事が来ない。一旦スルーで他を進める。
今度は実行結果に今までと別のログが出力された。
既存のシステムでなく新規のシステムとして。
え?システム増えたっぽいよ。
そういうのもあるんかな(そんなわけない)
これも報告。返事なし。
あ、また止まった。あれ、今度は権限がない?
ん?この参照先って本番…?
都度報告するも、嫌な予感しかしていなかった。
環境整備して、単体テストの仕様を固めて、本番に合わせる形で進めていたのに、
今更になって出てくるものたちって一体…
全てを一旦忘れ(記憶喪失)、翌日の出勤日に回答がきた。
「…ということで、全て仕様ですので、進めていいですよ」
いや、どういう仕様?オワタ。
細かく説明すると長いので端的に言うと仕様通り。
でもテストをする上では差分が出るからちょっと調整(いわゆる魔改造)。
こうして私は紆余曲折ありながらも順調に…
と思っていたが、そうは問屋が卸さない。
今度は現環境へのアクセスができない…。闇。
何が起きたか。これは不具合でなく仕様である。病み。
現環境は踏み台サーバーを経由して対象のPCをリモート接続し、
そのPCにリモートで操作してエビデンスを取得するという決まりであった。
そのPCへの同時アクセス人数 2人。
いや、人数合わへんやん。テスター3人おるけど。(足し算も怪しいかも…)
正確には他のPCへもリモート接続は可能だが、
とにかく動作は重いし、別の人が開発で使っていたりと、
快適に使用できるのが1台しかなく、常に取り合いの状態。
特に接続中に誰かから特権を用いてセッションを剥奪されるケースもあり、
いつ、どのタイミングで接続出来なくなるかも不明だった。
そのため、大概の人は一度セッションを取ると終日握ったままで、
最悪、終日現環境のデータだけ取得ができない。
結局その日、5本しか現環境のエビデンスは取れなかった。
終始、別の方が握りっぱなしで1日を終えたのであった。
Warning
“共有”が前提のリソースを、運用で取り合いにした瞬間に、
スケジュールは「作業量」じゃなく「奪い合い」に支配される。
その日から、私のルーティンは様変わりしてしまった。
出社はいつもより30分早く来て、始業前まで軽くデスクの整理と 自宅から淹れてきたあったかいコーヒーでくつろぎ技術書を眺める時間。
…と見せかけて出勤時間ギリギリにそっと現環境へのセッションだけ全力で取得する。
始業と同時に現環境にスケジュール4日分のデータと環境ファイルを用意し、
私は狂ったように、そのまま実行、エビデンス取得。これを繰り返す兵器となった。
この間に席を離れることは許されない。セッションを手放すことになるから。
このサイクルが全て実行完了するまでは…およそ150分。
トイレに行きたい…しかし、ここで手放せば今日が終わる…
なんとしても、この瞬間まではなんとか終わらせないと…
例えこの身が壊れようと、膀胱が破裂しようと…
苦しい…。長い…。つらい…。
…私はこの150分がどれだけ長いと思っただろうか。
Caution
運用は時として人間を超越する必要がある。 設計・運用が変わらないなら、私が人間でなくればいいだけ。末期である。
やっとのことで終わるや否や、全速力でトイレに駆け込む。
…そして優勝を確信して、ゆっくり自席に戻る。
周囲の無言の圧力(幻覚)や無意識の苛立ち(幻聴)にも抗い、 勝ち取った収穫したてのエビデンスたち。
こうして今日もゆっくりと一つずつ新環境でエビデンスをとり、ゆっくりと比較して、
丁寧にドキュメントを作成していくのであった。
Note
時々聞こえる時報がお昼の合図。
いや、時報じゃなかった、「イガイタイ」という叫びだ。闇。
って、いやいやいやいや、何この状況!?
こんな意味不明な理由や状況で耐えている私っておかしいよ。
と思いつつも、謎の仕様とセッション争奪戦を同時にこなしながら、
今日も設計と運用の計画の大切さを身をもって知る毎日なのであった。
おまけ:こうならないための現実的メモ
- **共有リソースの同時利用数(2人)**が制約なら、最初から「テスト計画」に織り込む
- エビデンス取得がボトルネックなら、取得手順の自動化(ログ出力の標準化、保存先の固定)を最優先にする
- “踏み台→PC→操作→エビデンス” の多段構造は、事故る。事故る前提で代替経路(別PC/別手段/予約制)を用意する